君の詩が色褪せても
第1章 わかんねぇな
『…わたし分かったんだ』
『…何を?』
『この…広い宇宙のどこかに、瑞穂は生きてるんだね…』
『…凛』
『だから…だから…泣いちゃいけないんだよね…』
『凛……無理すんなよ』
『だって、わたしが泣いたら瑞穂が悲しむもん!』
『やめろよ、我慢なんてするなよ』
『…何で…何で』
『凛が我慢する顔、見たくないんだよ!』
『……京一くん…』
『凛、これは仕方のないことだったんだ。運命だったんだよ』
『運命…』
『オレ…、瑞穂が居なくなって、やっと本当の気持ちに気付いたんだ』
『京一くん…』
『凛…』
………
プッ―
広いリビングにある大画面のテレビの電源が落とされた。
「…ふぁ〜……」
ビデオのリモコンを片手に伸びをする人物。
彼の名は、植杉日和。
この大きな部屋の住人である。
日和はリモコンをポイとどこかへ投げると、真っ白いソファーに背もたれながら髪をクシャクシャとかき乱した。
「何が運命だよ…」
仏頂面で呟く日和。
高層マンションの窓から雲一つない青空が覗く。
春の暖かい風が日和の白くて艶のある頬を撫でた。