君の詩が色褪せても

「起きてたのかよ…」


「今起きた」


また、このパターン?…―



「…きっ…昨日は悪かったな、冷たくして」

目をそらしながら話す日和。



「仕方ないよ。日和はSだから」

愛里子はあっけらかんとしていた。

拍子抜けする日和。



だけど、彼女の口から出た自分の名前を聞いて、なぜかスゴくホッとしていた。



「あー…あのさ、オレ今日出掛けなきゃなんねんだ」


「お仕事?」


「うん。10時から事務所で会議」

何故か細かく説明する日和だった。



「日和のお仕事ってホスト?」


「何でだよ…。ホストなら夜が仕事だっただろ」

ため息を付きたくなる日和。


「じゃあ、どんなお仕事?」


「歌を作る仕事」

日和はハッキリ言った。



「歌…。素敵だね」


「で、お仕事仲間の律壱が9時にマンションの下に迎えにくるの」


「Mのりいちくんが?」


「お前、それ聞いたら温厚な律壱でも怒るぞ」


「ごめんなさい」

慌て口をふさぐ愛里子。

その一挙一動がとても可愛らしく、日和はとぼけるように頭をかく。


「9時って、もうすぐだよね」


「ああ…支度する」
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