君の詩が色褪せても
2人は固まっていく彼女の様子を見て、不思議そうに名前を呼び続けた。


「あの…?」


「スッ…スミマセン…」


「どっか、具合悪いんですか?」

日和は思いっ切り顔を覗き込んだ。



「スミマセン、スミマセン違うんです!」

手で顔を伏せる彼女。


「違う?」



「わっ…私…本名は…弥生が下の名前なんです…だから…」


「だから、敏感に反応しちゃった訳か!」

日和はストレートに言う。

そんな日和の頭を律壱はまた叩いた。

「お前の表現は何でエロいんだよっ」


「痛てぇな…」


「スミマセン……」


会議室は訳の分からない状態になっていた。


「よし、じゃあ初対面なんで、自己紹介してもらおう!」

律壱が上手くまとめ上げる。


「…だな」

日和もうなづいた。



「はい…。…何を話したらいいですかね…。自己紹介…」


「本名は?」


困っている弥生に日和は救いの手を差し伸べた。


「田中弥生です…」


「案外普通の名前だね」


「コラっ…お前、失礼だぞ。しかもタメ口きくな」

律壱から怒られまくる日和は、つまらなそうな顔をする。


「あっ…いいんです!タメ口は問題ないですから」
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