君の詩が色褪せても
「でも、オレたち年下ですし…」
「だけど、業界はお2人の方が先輩だし、それに敬語は堅苦しくて…」
「じゃあ、弥生さんも敬語使わないでよ」
日和が言う。
「わっ…わかりました」
「それ、敬語」
律壱が微笑む。
「…わっ…分かった。タメ語…だよね…」
弥生は恥ずかしそうに何度もうなづいた。
「オレ、植杉日和。日和でいいから」
「オレは服部律壱。よろしく…」
さらっと紹介を済ませた日和に続いて、慌てて律壱も挨拶した。
「よろしく…」
弥生は優しく微笑んだ。
「ところで弥生さん、この映画化って再来年公開なんだね」
日和は資料に目を通しながら話した。
「そうなんだ。…だったら主題歌って、まだ早いよな。配役も決まってないし」
律壱も資料を手に取る。
「そうなんです…じゃなくて、…そうなの」
「何で?」
日和が顔を上げる。
「バンド物のストーリーだから、音楽的な資料が先に欲しいって監督さんに言われて…」
「なるほどね」
「それで…、ずっと…ファンだった2人に……お願いをと…………」
日和の軽い返事に対して、弥生は慎重に答えた。