君の詩が色褪せても
律壱は目を丸くした。


「私が漫画家としてデビュー出来たのは、日和くんのお陰なの…」


「日和の…?」



「18のとき…日和くんの詩に出会って…それで初めて雑誌に投稿したの」


弥生は落ち着いた表情で淡々と語っていた。


「その詩、もしかして日和の最初の?」


弥生は首を縦に振った。


「15歳の詩に励まされた。私は小学生の頃から漫画を書いてきたけど、自分の作品に全然自信が持てなくて…投稿なんて考えられなかった」


「あの詩から、勇気もらったんだ」

律壱が微笑む。


「うん。すぐにデビューは出来なかったけど、あきらめない力を日和くんの詩は教えてくれたの」



「そっか…」


「だから、日和くんがアイドル的に扱われてしまったとき、とてもショックだった」


「あの頃の詩、良くないもんな」


律壱がぼんやりした目で続けた。


「だから…、今また、日和くんの詩があの頃に戻ってきたみたいで嬉しい…」


「だね」


「きっと、服部くんに出会ったからじゃないかな……なんて」


2人は互いに頬を赤らめた。



「…弥生さん、結構話すんだね。最初の緊張が嘘みたいだよ」
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