君の詩が色褪せても
証拠探しか…
あいつ…

まだ部屋にいるのかな…―



大きな目…

金髪の長い髪…

フリフリの服…


明るい…笑顔…



今日のあの人とは…

「真逆だな…」


「何っ?」

律壱が振り向く。


「いゃっ…独り言…」

日和はドキッとして頭をかいた。


「気持ち悪いな今日のお前…。黄昏るなよ」


「たっ…黄昏?」



そうこう言っているうちに、エレベーターは日和の部屋の前に停まった。


「何度来ても楽だよな、このマンションの構造」


「いいから、早く下りろよ」 

背中を押す日和。


「どこでもドアみたいだよな」


「バーカ。単にエレベーターのドアが回転するだけだろ」


律壱は、日和の元気な返事に安心したかのように笑顔を作った。




「たっ…ただいま…」

恥ずかしそうに挨拶しながら部屋のドアを開ける日和。



人気がないリビング。



「愛里子…?」



やっぱり…
居ないのか…―




オレは何を期待してたんだろう…―




「愛里子ちゃーん」


日和の後ろで、律壱がデカデカと名前を呼んだ。






「はっ…はぁ〜い」


キッチンの方から可愛い声。
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