君の詩が色褪せても
律壱は愛里子の言動に笑いを隠せずにいた。


「まるでコントだな」


「お前、人ん家だから笑えるんだよ…」

日和は深くため息をついた。



「ごめんなさい…」

目をうるうるさせて謝る愛里子。



「もういいよ。ここはオレが掃除するから、愛里子はシャワーして着替えてこい」


「ダメー!!」

突然の愛里子の大声。

驚く律壱。



「そんなに風呂と着替えが嫌なのかよ…汚い女だな」

冷たく言い放つ日和。


「違う。…汚いのは嫌だけど…」


「妖精だから着替えられない」

日和が代弁した。



「なっ、何…それ?」

首を突っ込む律壱。



日和は指差した。


「愛里子に羽根ついてるだろ」

「…ああ」

「あれが通る、背中に穴開いた服じゃなきゃダメなんだって」

愛里子は恥ずかしそうに黙って立っている。


「…えっ、あの羽根、服に付いてるんじゃないの?」

マジマジと見る律壱。


「普通はそう思うよな」


「…違うの?」


「本人に聞けば?」

日和は愛里子を無視してキッチンの掃除を始めた。


「愛里子ちゃん?」

律壱が近寄る。


「この羽根は本物です。愛里子は本当に妖精なんです」
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