君の詩が色褪せても
「じゃあ、愛里子さん…一緒にバスルームへ行きましょう」
弥生が手招いて、愛里子を促す。
「愛里子は妖精なの!羽根も偽物じゃないよ!」
少しだだをこねる愛里子。
「それは解ってる!」
弥生は真剣な目付きで、ベトベト愛里子の肩をつかんだ。
日和はゴクっと唾を飲み込む。
「愛里子さんのこと、みんな信じてるから確かめたいの」
「確かめる?」
「愛里子さんがこれからどうやって行くか考えなければならないでしょ」
「考える…」
「まずは、服を取り換えて、ゆっくりお話しないといけない」
弥生の説得力ある言葉に日和も律壱も驚いた。
愛里子はコクリと頷いて、弥生と一緒にバスルームへ向かった。
「あの人…二重人格か」
日和がこぼす。
「確かに。事務所にいたときとは別人だな…」
「つーか…多重人格?」
失礼をしらない日和。
「…有り得る」
律壱も他に言葉が見つからなかった。
「ま、お陰で助かったけどね」
「…」
軽く言う日和に律壱は目でサインを送る。
「…なんだよ」
目線を嫌がる日和。
「お前、信じてた?」