君の詩が色褪せても
「愛里子さんは、本当に妖精…。信じられないけど、多分」
こんなことが…
あっていいのかよ…―
「妖精…」
無表情で呟く律壱。
「…あっ…そこの紙袋取って下さい」
弥生は自分が持ってきた紙袋を指差した。
「えっ…あっ、ああ」
律壱は動揺したまま弥生に紙袋を渡した。
脱衣室に戻る弥生。
再びカーテンが閉まる。
日和は無言でじっと携帯画面を見つめていた。
金縛りにあったかのように瞬きもせず。
律壱は、そんな日和の様子が気になっていた。
しかし、声をかける勇気がなかった。
数分して、また脱衣室から弥生が出てきた。
「さぁ、愛里子さん」
中にいる愛里子を手招きする弥生。
日和は緊張したように拳を握り締めた。
「…変…じゃない?」
可愛い声と共に、愛里子が姿を見せる。
言葉にならなかった…―
「可愛い…」
律壱の口から自然に声が零れた。
レースたっぷり、ピンクのフリフリワンピースに身を包んだ愛里子。
頭にはワンピースとおそろいの大きなリボン。
髪をクルクルさせて、少しメイクもしてあった。