君の詩が色褪せても
「「秘密手帳……」」
重なる日和の呆れ声と愛里子の疑問声。
「いい案だろ」
「どこが名案だよ。ありきたりじゃねーか」
「でも、これポケットサイズだし、その場で思い出したことスグ書き込めて便利じゃん」
「お前さっきその手帳否定してなかったっけ?」
ムッとする日和。
「過去のことは忘れろ日和。今は愛里子ちゃんの過去が大事なんだ」
……―
「愛里子、字書けるか?」
「丸い字なら書けるよ」
微笑む愛里子。
「いや…、丸くても四角くてもいいんだけどね…」
コイツら…
面倒くせぇ…―
律壱は表紙に早速何か書き出した。
「愛里子の…記憶?」
読み上げる日和。
『愛里子の記憶』
表紙にそう書かれると、手帳が文庫本のように見える。
律壱は更に書き足す。
『日和、律壱、弥生以外は見ちゃダメ!』
文庫本の帯の様で滑稽に見えた。
満足そうな顔をする律壱。
「おっおい!弥生さんも入るのかよ!」
焦り、戸惑う日和。
その様子を愛里子はチラチラと伺っていた。
「だって、弥生さんも愛里子ちゃんが妖精だってこと知ってるし」