君の詩が色褪せても
「でも…っ」
「これからも世話になると思うけどな。女性は必要だろ?」
確かに愛里子は女だし…
必要だけど…―
「洋服も頂いてるし、何か悪いじゃん」
「そっ…そうだな」
「いいの律壱くん?」
愛里子が突然口を開く。
「……」
「あの人、側にいても?」
日和には分からない沈黙が続く。
「愛里子ちゃんがいるんだから、変わらないよ」
律壱は愛里子の瞳を真っ直ぐ見て微笑んだ。
「そっか…」
愛里子は少し申し訳なさそうに手帳に目を落とした。
「何だよ…お前ら?」
「日和には関係ないことだよ。それより愛里子ちゃん、早速だけど覚えてることを書いてみてよ」
「うん」
愛里子は手帳とペンを持った。
「まずは名前だよな。愛里子」
手帳を覗き込む日和。
ほんのりピンク色に染まる愛里子の頬。
「オレにも見せて」
愛里子の隣にやってくる律壱。
全員がソファーから下りてテーブルを囲む。
「そして妖精で、目が覚めた場所は海の見える公園だろ」
愛里子は丸っこい可愛い字で日和の言ったことを綴っていった。