君の詩が色褪せても
聞き覚えのある声。


「弥生です…」


その小さい声に一瞬焦る日和だった。




急いで玄関へ出向き、ドアを開けると、やっぱりどこか地味な弥生が大きな紙袋を沢山抱えて立っていた。





「これ…、愛里子ちゃんにと思って」


紙袋を玄関に置く弥生。





その様子を覗き見ていた愛里子。



弥生と目が合い、軽く会釈する。



「これ、服?」



「ごめんなさい。こんなに沢山いらなかったかな?」



紙袋の中にはピンクや水色等のフリフリが敷き詰められていた。




「いや、助かる…」


「良かった」

安心する弥生。






「あっ…、とりあえず中にどうぞ」


「え?」



「時間、ある?」


紙袋を持ち運びながら問いかける。


コクリと頷く弥生。


「聞きたいことあったんだ」




「私に?」



「愛里子のこと」













ティーカップに紅茶を注ぐ愛里子は、早速弥生の持ってきた甘ロリのワンピースに着替えていた。


その姿はまさにアリスのお茶会のようである。





一方、弥生はリビングのソファーに軽く腰掛けて例の秘密手帳を見ていた。
< 70 / 219 >

この作品をシェア

pagetop