君の詩が色褪せても

「運命の恋って…何だ?」

「はっ?」


「オレには分からん!」

日和は皮のクッションを抱いて、ドスンとソファーに腰を下ろした。


「お前…それでも天才作詞家か?」

呆れた顔で律壱が笑う。


「周りが勝手にそう呼ぶだけだよ」


「でも売れてるじゃん」



「それは律壱が曲付けてるからだろ」


「…ま、そうかもな」

と言ってピアノのイスに座る律壱。


「オレのは才能じゃないし…」


「…気にしすぎだろ」





植杉日和、服部律壱。

日本でこの2人の名前を知らない人間はほとんど居ない。


彼らは、日本の音楽シーンの風雲児なのだ。



若くして才能を発揮した天才作詞家、それが植杉日和。

その日和の歌詞に曲を付け、様々なアーティストに楽曲を提供する服部律壱。


世間はこの2人をゴールデンコンビと呼んでいる。



律壱は過去にソロとして歌手活動をしていたが、あることが切っ掛けで歌を辞め、今は日和の専属作曲家となっている。

対する日和がその才能を開花させたのは15歳の時であった。
たまたま送ったコンテストに見事合格。
大人びた歌詞が当時話題をよんだ。


しかし…
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