君の詩が色褪せても
愛里子の頭の中に寺の鐘の音が響き渡った。
「そうだね…。せっかく一生懸命作ったんだから、見てもらおうよ」
フラフラ愛里子を抱き抱える弥生。
そんな2人はさて置いて、日和は愛里子部屋になってしまった客間の襖を開いた。
……………―
「素敵でしょ?」
後ろから弥生が声をかける。
なんだよ…コレ―
そこは正に中世のお姫様が暮らすようなゴージャスで可愛らしいお部屋だった。
「………」
開いた口がふさがらない日和。
ファー素材のピンクのモコモコ絨毯。
金色猫足のテーブルの上には薔薇の花とキラキラアクセ。
ベッドは勿論天涯付きのお部屋仕様。
白いタンスとドレッサーはお揃いの品。
障子を隠すようにピンクカーテンがひかれ、その前に甘ロリ服がディスプレイされている。
ドレッサーの上にもピンクのファー。
可愛らしいメイク道具を並べて、ほのかに甘い香がする。
見上げれば、証明はミニチュアシャンデリア。
壁紙も白地にプードル柄といったラブリーなもの。
そこは、まさに愛里子の世界だった。