君の詩が色褪せても
日和がマスコミに取り上げられると、いつの間にか話題は歌詞ではなく、日和本人のビジュアルに向けられるようになり、アイドル扱いをされるようになった。


日和は自分の容姿にコンプレックスを持つようになり、最近では顔出しの仕事は断り続けている。



歌を辞めた律壱と自分自身がコンプレックスの日和。

悩める2人はいつしか意気投合して、最強のソングライターとなった。








「運命の恋って、例の依頼されたドラマ主題歌?」


クセのある前髪をかきあげながら律壱が尋ねた。



「そ。…例の運命ドラマのシリーズ2」

指を2本立てる日和。



「ピース!」

と、テンションを上げて返す律壱。




「……ツーだ!」

日和は顔を更にムスッとさせた。




「お前、シリーズ1の時も悩んでオレんとこ来たよな?」


「その1を今DVDで見てきたんだけど、訳分からなくなる一方なんだよ〜」


日和はクッションを投げ飛ばして、頭を抱え込む。



「難しいことか?」


日和の姿を見ながら、律壱は微笑みを浮かべた。




「難しい!」


防音対策ばっちりの部屋なので日和がどんなに大きな声を出しても大丈夫である。
< 9 / 219 >

この作品をシェア

pagetop