君の詩が色褪せても
「どう日和?」
復活した愛里子が顔を覗く。
まばたきだけ繰り返して、完全に固まる日和だった。
「…やりすぎたかな」
不安になる弥生。
「なんか…オレ…目眩がしてきた」
そっと襖を閉める日和。
「大丈夫?」
心配そうに見上げる愛里子。
いや…
大丈夫じゃない…―
リビングのソファーに座り直す日和。
まさに疲れた表情である。
でも…
コイツ等に何か言ってもムダだろう…―
自己解決。
彼にはそれしか出来なかった。
深夜。
月のない夜。
静かな夜。
波の音も微かにしか聞こえない。
そんな夜は日和の仕事も何故かはかどらなかった。
水を飲む為に自室を出た日和。
ふと、愛里子の部屋の襖に目を止める。
「ALICE ROOM」のプレートがぎこちなく吊されている襖。
まさか、はたおりとかしてねーよな…―
日和はそっと襖を開けてみた。
甘い香りが鼻をくすぐる。
愛里子はお姫様ベッドでスースー寝息を立てていた。