君の詩が色褪せても
パンツ一丁の自分に今更赤面する日和。


愛里子は何事もなかったかのように部屋を出て行った。

















柔らかい風に包まれてカーテンが揺れる。


小鳥のさえずりが聞こえる爽やかな朝だった。










「…よっ」

片手を上げてリビングに居る律壱に挨拶する日和。





「なんだよその挨拶…朝だぞ」

律壱は呆れ顔で笑った。




「そーだよ日和。朝なんだからオッハーだよ!」





「普通おはようだろ…」



洗面所に向かう日和。


律壱と愛里子は楽しく談笑している。














しかし…

嫌な夢だったな…―





冷たい水にも洗い流せない夢の記憶。


鏡の前の居心地が悪く、日和は直ぐに2人の元へ戻った。





「で、なんか用事?」


不自然に会話に入る日和。



「ああ、出来たんだよ」




「……へ?」






「へ?じゃねーよ。運命ドラマの曲」


律壱はCD-Rを取り出した。



「あっ…そっち…」




「お前のことだから、ガキが出来たの方と勘違いしたんだろ」


ため息まじりに話す律壱だった。
< 94 / 219 >

この作品をシェア

pagetop