君の詩が色褪せても
その通りです…―
「お前がそんな訳ないもんな…」
「日和はどうなんだよ?」
「オレだって最近は……」
ふと愛里子の顔をチラ見する日和。
「……?」
愛里子が首を傾げる。
「話それたな…」
律壱が咳払いをして空気を変えた。
「つーか、もう曲出来たって早くない?」
「オレも自分にビックリだよ」
CD-Rが日和に手渡される。
「聴いていい?」
「その為に来たんだけど」
「…だよな」
日和がオーディオにCD-Rをセットする。
曲は勝手に流れはじめた。
時が止まったリビング。
愛里子はゴクっとつばを飲んだ。
涙が零れそうになる。
懐かしく、温かいのに切ない……。
そんな言葉が似合う曲だった。
「…ステキ」
曲の終わりと共に愛里子が発する。
「どうだ日和?」
律壱が真剣な眼差しで感想を問う。
「どうって……なんか…言葉にならない…」
震える日和の声。
「お前の歌詞読んでたら、降りてきたんだ」
「…そ…か」