きみとあたし


いかにも
ちびっこらしい
喧嘩だった。








そんな雄介を
「好きなんだ」
と初めて気がついたのは
小学6年の秋だった。



雄介とあたしは
習い事が同じだった。





「さよーならー!!」

「さようなら。気をつけてね!!」

習い事の先生に
送り出されて帰ろうと
していた。




あたしは
帰ろうとした。



「おぃ!!……ゴリラ女!!」


誰かが叫んだ。


そして雄介が
あたしの目の前にきた。




「…なんだよゴリラ!!」


またあたしは
口の悪い事を言った。


いつもなら
反撃する雄介が
下を向いて何か言いたそうにしていた。




「………こっちこい!!」


「は!?ちょっと!!」




…あたしの手は
雄介に握られていた。



「ちょっと…ゴ…ゆ…雄介!!」



勢いよく走ったから
上手く話せなかった。



きれいな月が
あたしたちを照らしていた。



あたしたちの着いた場所は
滑り台しかない
寂しい公園だった。



「なんなの!?いきなり走ったりして」


あたしは
不思議でたまらなかった。


何で雄介の顔が真っ赤なのか
何で手を繋いでいるのか
何で走ってしばらくしても
息が苦しいのか
何でこんなに…
ドキドキしているのか。




「あのさ…」

雄介が頭をかきながら言った。

「うん」

「俺さぁ…」

握られてる手が凄く熱い。

「なに…??」





しばらく沈黙が続いた。






「俺さ…結季が好きなんだ。」


顔を真っ赤にして
雄介がそう言った。


あたしは
どういうことか
理解出来なかった。



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