あの日に帰りたい〜第二部〜
第六章
「親を呼んでるからな。」修学旅行の帰りの新幹線の中で、若い私は体育教師に呼び出されて、そう告げた。若い私は、とても憂鬱になった。新幹線は静岡駅に滑るように着いた。どうして嫌な待ち時間はすぐに過ぎてしまうのだろう。新幹線を降りて、二列に並んで歩いていると、父の姿が見えた。遠目で見ても、腕組みをして怒っているのがわかる。まさか父が来ると思わなかった若い私は、激しく動揺した。
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