HOTEL
今日はあのマスターから譲り受けたお守りを返したかったので、(案の定ナベコンが開催された)バスから降りた後は美知子と観光地を後にして、向かう事にした。
武井達は他のクラスの女子に捕まって、私達とは別行動だ。


地図を片手に、あの喫茶店を探しているのだが、一向に見つからない。
ビジネスビルの周りをぐるぐる回っていて、何度同じ風景を見たのだろうか。
道行く人行く人に聞いても知らないと言われ、挙げ句にはこの辺に喫茶店はないはずだと言われる始末。

武井や久住に聞けば、何かわかるかもしれないと思ったが、武井と久住の携帯番号がわからない。
(本当は携帯持参禁止なのだが、万が一の事もあるので、暗黙の了解となっている。)

すると
「武井くんのなら知ってるよ?」美知子が言った。

いつの間に交換したんだ?と思っていると
「うん?あっ、実はねぇ昨日早くにはんな先に寝ちゃったじゃない、そしたら武井くんが来てね、心配してくれてね。告白されたの。」

「げほっごほっ」
と飲んでいたポカリスエットを思い切り吹いてしまった。

はは〜ん。道理でこっちに絡んできたわけね。

なるほど、なるほどとよからぬ事を考えながら…
「で、付き合ってんの?」

「うーん…とりあえず返事待ちしてもらってる〜。だからね、番号交換はしたってところかなぁ〜」

「なるほどね〜…じゃあ、取り合えず連絡とりましょか。ふふん」

「はんな、なんか…悪巧みしてるでしょ〜…」

「大丈夫、大丈夫何もしないって☆」
☆マークまで付けたのに信じてもらえなかった。

取り合えず、今は喫茶店を探す方が大事なので、武井に連絡取ってもらう事にした。
すると、他女子を振り切ってこっちに来ると言う。
好きな子からそう言われちゃ来るだろう。

美知子が武井と付き合うと私的にちょっと困るが、美知子には今の所、武井とどうするとか考えていなさそうだ。
むしろ考えないでいてほしい。
私は父親かと一人つっこみしながら、彼らが来るのを待っていた。

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