HOTEL
南とは私のことだ。
私は南はんな。肩肘をついてぼーっとしていたから聞いてなかったと思われたみたいだ。
見た目は校則違反だらけの派手な生徒の方で、他の生徒からは一目置かれている。いや、性格上の問題で一線を引かれてるとも言うべきか。

そんな生徒でも鳥居先生はいちいち、細かく言わない。
ちゃんとする時に自分がちゃんとできればいいよとだけしか言わない。

だからなのか鳥居先生の言うことは素直に聞けるので、
大事な時にはちゃんとしてくるという事をきっちり守っているのだ。

それで先生との信頼関係を築いているのかもしれない。

「はい、ちゃんと聞いていました、旅館が別なんですよね。」
と、返事をした。

「それなら、OK!後は〜…ま、いいか!今日の報告は終わりね。以上解散!」

なんて短くて簡潔なHR。

HR後には
「先生〜!旅館なんですけど〜…」
と生徒達が(色々と)説明を省いた先生の所に群がっていった。


「はんなぁ〜、旅館別には驚いたけど、はんなと一緒の班でよかった。」

と言ってきたのは、私の唯一の親友である百瀬美知子である。

彼女はおっとりとした、癒し系美人の色白美人で、男子から絶大の人気を誇っている。

性格はまったく違うが、馬が合ったと言うお決まりのパターンで、入学当初からいつも一緒にいるのだ。

「んだね、何あれば私が守ってあげるから、安心しなね。」

「何かあればぁって何もないから大丈夫だよ?」
と笑う。

自分が男子から虎視眈々と狙われている事など全く気付いていない。
その天然さに加えてぶりっこっぽい声の持ち主ゆえに、入学当初から女子に嫌われていた。

まぁ、なのにも関わらず、いじめに発展しなかったのは私の存在があるからだろう。

それも汲んで、鳥居先生は気をきかせて私達を同じ班にしてくれたのかもしれない。


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