HOTEL
と言われても何を言われてるのか意味がわからず、きょとんとしていると、
「そうですね、簡単に言いますと、あなたには陰陽師と言われるような力の資質を持っているので、色々なものを引き寄せている。例えば人であったり、あの世のものであったり、木魂であったり。普通の人が感じないものを感じる力がある。ただ、あたなの場合は陰陽師とはまた少し異なる力もあるようですが。」

「どうして、そんな事がわかるんです?」

「私は陰陽師だからです。今まであなた自身は気付いていらっしゃらなかった。というよりは、南さん自身がその力を封じ込めていたと考えられます。」

「何の為に…?」

「身の安全の為…と、その力そのものをを忌み嫌っていたのかもしれません。」


「……」
力?陰陽師?資質?封印?頭はパニック寸前だった。


「ただ、私がこうしてお話しているのは、あなたが徐々に力を解放してきている。それを意味するのが、その力を使う必要性が出て来ているとあなたが感じているという事です。ただ、それに気付かずして、解放する事に危険があると察したので、こうしてお呼びしたという訳なんです。」


「危険…?」


「そうです。力のコントロールが難しいですから。あなたはほんの少ししか力を解放していないのにも関わらず、私にはビシビシと伝わってくる。全部解放した時にはどれ程なのか、私にも計り知れないのです。
それ程までに強い力は時として自分をも飲み込んでしまう可能性を秘めている。」

「何か…解決方法はないんですか?」
とずっとぐるぐるしていた私の代わりに久住が聞いてくれた。

「……君も普通の人よりは感受性が強い方みたいだね。他の二人は信じてないようだけど、あなたはすんなり受け入れている。」

「南さんが、体調悪い時、ちょっと僕も嫌な感じがしてたんだ。少し息苦しいというか。小さい頃からそういう事はたびたびあったし、気味悪がられてたしね。だから感じても平気な振りはしてるよ」



< 20 / 22 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop