HOTEL
「大した事じゃないと思うんだけど〜、あそこの喫茶店でトイレに入ったじゃない?店奥のトイレに行く途中で壁にマスターなのかな〜?と思う写真があったんだよね。名前が『とよ』って。
その写真で、とよさんって人がそのお守りみたいのを首に下げてた。」
と教えてくれた。

首に下げる程大事なものをなぜ私に?と考え込んでいると、美知子はさらに続ける。

「まだ続きがあって、写真に大正10年って書いてあったの。あの時はあまり気にしてなかったけど、大正って、今から80年以上前じゃん。なのにマスターの写真、どう見ても30代なのね。…計算すると100以上?!マスターの口元に印象的なほくろがあったじゃん?写真にもあったし…。ちょっとおかしいよね?」

マスターが100歳超えている?でも、今のマスターはどう見ても70代ぐらいにしか見えなかった、とても100歳越えているとは思えない。


私達は何か薄気味悪くなり、このお守り捨てた方がいいのかもしれないと話し合っていたのだが、捨てると罰が当たりそうなので、明日朝一で返しに行こうということで話は落ち着いた。

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