二十歳計画

小さく首を縦に振った。

「ごめんな」

彼の手がさらに優しく私の頭を撫でる。

「でも…!!」

「?」

「今は…恐くない…」

大丈夫、と小さく呟いた。

「それなら良かった」

彼は軽く口角を上げて、煙草を吸ったまま夜空を見上げた。


「鈴木は変わんねーな」

彼がポツリと呟いて、あれ、と思った。


「あの、黒崎さんは何であたしの名前、知ってるんですか…?」

この人に名乗った覚えはない。

「は?いや、わかんねーの?俺の名前知ってるのに」

「あー…実は、黒崎って名前自体、今日初めて聞いたんですけど…」

言った瞬間、彼の煙草がポロッと手から落ちた。

ドラマのワンシーンみたいだ。

「……………まじかよ…」

彼は煙草を落とした体制のまま言った。

そして

「…高校一緒だったんだけど」

「誰が…」

「俺」

「誰と…」

「………お前と」















「嘘でしょ?」

「残念ながら」


知らないはずがない。
だってこんなある意味目立つのに、高校の三年間気づかなかったなんて、あるはずがない。

「えー…と、名前を」

「黒崎京介」


すいません。わからないです。


「覚えてねーか。学校なんて殆どサボってたし」

気にすんなよ、と続けた。

「それに、」

「?」



「お前、上田聖二のことしか見てなかったしな」




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