時を越える愛歌
あかん、予定よりも撮影が長引いてもーた…
奈美、1人で待ってたんやー…何か悪い事したなぁ。
祐介「ただいま~」
玄関で靴を脱いでリビングに向かうと、奈美の姿がなかった。
机の上は少しだけ片付いている。
祐介「…奈美?」
呼んでも返事は聞こえて来ない。
ふとベランダを見ると干していたはずの洗濯物もなかった。
もしかしてと思って寝室に行ってみると、ベットの上で誰か倒れてる。
祐介「奈美っ!」
急いで駆け寄ってみると、寝息を立てて奈美は寝ていた。
びっくりしたぁ…
ベットの横にはまだたたまれてない洗濯物が置かれていた。
祐介「はぁ…びっくりさせんといてぇやぁ…」
僕は安心して奈美の頭を撫でていると、奈美は手に何か持っていた。
みんながしてくれた僕の誕生日会の…写真?
壁には画鋲が刺さったまま。
取れちゃったんかな?
どんな事を思って奈美がこの写真見てたか分からんけど、
写真をそっと奈美の手から取って壁に貼り付けた。
今までいっぱい家の仕事頑張っててくれてたんやな…
このまま寝かせてあげよう。
そう思って、僕は奈美にそっと布団をかけて部屋を後にした。
キッチンへ行って何か作ろうと思っていると、アルミホイルが被さってるフライパンがあった。
アルミホイルをはがすと、中には出来上がってるハンバーグが4つ入ってある。
もしかして…奈美が作ってくれたん?
僕は心の中で「ありがとう」とお礼を言ってから、ハンバーグを火にかけた。