時を越える愛歌
時刻は夜中の2時。
ちゃんと布団で寝やな風邪引くなぁ…
少し寝ぼけているのか、足がふらふらしてる。
窓の外を見てみると、大きな満月が白く光っていた。
無意識にベランダに出て満月を眺める。
ふと下を見てみると、さっきの女の子はまだ地面に座り込んでいた。
さすがにこんな時間まであんなとこ居ったらマンションの人らに迷惑やん…
僕は近くにあったパーカーを来て、女の子に説教してやろうと1階へ向かった。
ゴミ置き場を見てみると、女の子の左肩らしきものが見える。
祐介「なぁ…いい加減こっちも迷惑してんねん。さっさと消えてくれへん?」
僕は女の子の正面に行って顔を睨みつけたった。
でもその子はヤラカシでもなんでもなかった。
やってこの子、今にも倒れそうな感じやねんもん…
足からは血…
しかもこんな寒いのに制服のブラウス1枚とスカート。
袖の辺りが少し破れてる。
奈美「…え…」
その子は弱弱しい声を出しながら僕を見た。
僕を見つめたまま、視線をそらそうとせぇへん。
祐介「ちょっ…君どうしたん!?なんでこんなん…どしたん!?」
さっきとは裏腹に僕はかなり動揺しとった。
女の子の唇は紫っぽくて、長い間ここで倒れこんでたんが分かった。
奈美「あたしの事…見えんの?」
祐介「…ぇ?」
いきなり声を出したと思ったら変な事を言い出した。
こんな状況で何言い出すん?意味分からへん…どういう意味なん?
とにかくこの子をあったかいとこに連れて行かな!
祐介「見えるで!見えるから、とにかく僕ん家行こ!」
そう言って僕は今にも倒れそうな子を家までおぶった。
この子に何があったか分からんけど、不思議な感じがする…
祐介「とりあえず、ここに座っといて。消毒液取ってくるから!」
僕の家に着いて、女の子をソファーに座らせた。
この子さっきから何もしゃべらへんねん。
僕は消毒液で傷口を消毒してから、包帯を巻いてあげた。
絶対痛いはずやのに、女の子は顔色一つ変えへん…
祐介「よし、消毒出来たで!」
奈美「…ありがとうございます…」
女の子は悲しそうな顔をしながらうつむいている。