時を越える愛歌
てことは、僕には全く関係ないことって考えてもいい。
昔の記憶が
よみがえってくる…
そもそも奈美を僕の家に住まわしてあげようと思ったのは、
同情もあったけど、昔の自分と重なったから。
僕が小学生の頃にオトンとオカンが離婚して、僕は1人ぼっちになった時期があった。
一応オカンに無理矢理連れて行かれてんけど、再婚した相手が最悪やった。
そいつはオカンの前ではめっちゃ優しくて気のきく夫を演じてて、オカンを騙しとった。
裏の性格は最悪で、いっつも苛立つことがあったら僕にあたってくる。
オカンは病院で働いとったから、病人の関係で帰って来ない日が度々あった。
そんな日は必ずと言っていいほど、僕は義理のオトンから暴力をうけていた。
鏡に映る僕は体中があざだらけで、めっちゃ痛々しかった。
オカンにバレても本当のことを言えば暴力が増すと思い、「転んだ」と嘘をつくしか出来なかった。
そんな時、僕は隆平と出会った。
隆平のオカンが僕のオカンに話して、一緒に事務所に履歴書を送ることになった。
芸能界に入れるかは分からんかったけど、もし入れたらほんの少しの間だけでも、
あの家に居なくてもいいと思ったから。
運良く事務所にも入れて、僕はオカンの家からオトンの家に引越しした。
オトンは温かく僕を迎えてくれて、そっから僕の人生は変わった。
今でもふとあの頃の自分を思い出してしまう時がある。
もう一人ぼっちは嫌やねん…
嘘やって、つきたくない…
奈美「祐介~最近仕事忙しいん?」
祐介「…そう、かな?」