時を越える愛歌
真っ暗で肌寒い夜の道をあたしは走って祐介を探した。


近くの公園、コンビニ、よくギターを弾いている小さな川が流れている小高い丘、隆平くんの家…

他にも思い当たる場所は探した。



それでも祐介は何処にも居なかった。


最後にマンションの屋上に行ってみる。





「やっぱり居らんか…」





あたしは小さなため息を残し、屋上を後にした。

探しても居らん限り、どうすることも出来ひんよな…



あたしは一旦家に戻ることにした。

祐介にメールしても返って来ーへんしね…



ドアノブに手をかける。

あれ?あたし鍵閉めたはずやけどなぁ…


そう思いながらドアを開ける。





「…」





ドアを開けた瞬間、知らない女と抱き合ってる祐介が居た。



ね…どういうことなん?

頭がついて行かへんよ…

抱き合ってるのは誰?

祐介の大切な恋人?


愛してる…の?




祐介…答えて…




祐介と目が合った。

それでも同様せず、あたしを見つめるんやね…


ねぇ、あたしそんなに強くないよ…

こんなん見て絶えれるほど

大好きな人が知らない女と抱き合ってるのを見て黙ってられるほど



強くないよ…





「…っ」





あたしは一粒の涙を残し、ドアを開けて飛び出した。

祐介を最後に見つめて…






ばいばい、祐介…









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