時を越える愛歌
那都と抱き合っていると玄関の方から小さな音が聞こえた。
それでも僕は気にせず抱き締め続けた。
すると玄関から風と共に身に覚えのある香り…
祐介「…奈美」
聞こえないような声で呟やいた。
心の中ではかなり同様してるばすやのに、何故か僕の表情は固まったまま。
どうしよ…奈美…
しばらく奈美と僕は見つめ合ってた。
那都は玄関を背に向けているから、ドアが開いていることに気付いてない。
抱き締めた腕も…離すことが出来ないぐらいに同様してる…
だんだんと奈美は瞳を濡らしていき、涙を一粒ポロッと零した。
「…っ」
祐介「…」
奈美は悲しそうに微笑み、去って行った。
ごめん…ごめんな…
引き止めてやれない俺を許して…
祐介「奈美っ!」
那都はビックリしたように僕を見たけど、今の僕にはそんなん関係なかった。
ただ自分の姿を醜く思い、引き止める権利もなく、奈美を抱き締めてやれない自分に
涙が溢れ出た。
涙は止まることなく流れ、床にポタポタ落ちた。
ごめんな…
もう祐介には
可愛らしい彼女が居って
頭の中はもういっぱいいっぱいで
一緒に笑ってくれることはないんかな?
あたしを好きになってくれるなんてことは
一生ないんやね…