時を越える愛歌
祐介へ
祐介がこの手紙を読んでるってことは、もうあたしはこの世界に存在してないってことやね。
本当はな、この前からおかしかってん。
身体が透けたり、声がでなかったり。
何となく、あたしは消えてしまうんやなって分かってた。
けど、祐介には知られたくなかってん。
一緒に居れる時はずっと楽しく居たかった、祐介の悲しい顔、見たくなかったから。
ごめんね、こんな彼女で。
謝ることばっかりや…
あたしがこの世に存在する限り、幸せなんか絶対に訪れへんって思っててん。
悲劇のシンデレラで終わってしまうと思ってた。
けど、違うよ。
祐介があたしを救ってくれる王子様やった。
かけがえのない、大切で大切で、仕方ない人でした。
一緒に過ごした3ヶ月間、辛いことも悲しいこともいっぱいあった。
でもそれに負けへんぐらいの幸せで嬉しいこともあったよ。
それもこれも、全部祐介のおかげ。
ありがとう。
何回言っても足りひん。
あたしが消えてしまっても、祐介はいつもの祐介でいてください。
あたしのことは忘れて、また新しい恋をしてください。
それだけは約束してね、あたしの最後の我侭やから。
ほんとうに今までありがとう。
あたしは世界一の幸せものです。
祐介のこと、誰よりも愛してました。
ありがとう、そしてさようなら。
奈美より