幼なじみ


「あ、たし...」
「優衣、逃げんな」
「涼!!」
ひどいことを言った俺に怒鳴る千夏。
「毎年そうやって逃げて逃げて...もう5年だぞ?」
「...りょ...う...」
「優衣は悪くないんだよ。ちゃんと沙羅に元気な顔見せてやれ」
俺が言ってることが正しいのかはわからない。






でも、5年間優衣は逃げて、せめて、泣いた。
もう充分だろ、沙羅?
優衣は悪くないよな?沙羅。
お前は優衣を恨んだりしてないよな?





「ここだよ?」
千夏は優衣に沙羅のお墓を見せる。
「さ...ら...ッ」
優衣の息が詰まっていく。
「久し振り。元気?」
翔が助け舟を出した。
「みんな元気だぞ。今年は沙羅の大好きな優衣も来たんだぞ」
「うっ...沙羅ぁぁ...!あたし...ごめん__________」





優衣の目から大粒の涙がこぼれた。
優衣はずっと隠れて一人で泣いてた。
今、やっと優衣は解放されるはず。




沙羅は俺達のグループにいた優衣の親友。
沙羅は慎が好きだった。
慎も俺らのグループにいたやつ。
“あたし慎が好きなんだぁ”
“本当!?応援する!”
優衣は本当に心から応援してた。





一ヶ月後。
夏休み最後の日...沙羅は母親と買い物をしてた。
偶然見かけた優衣と...慎。
沙羅は震える手で優衣に電話をした。
“優衣?今何してるの?”
“今お母さんと買い物♪”




うそついた...
裏切られた...
優衣もあたしのこと影で笑ってた。
沙羅はその日自殺した。








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