幼なじみ
「優衣!?」
あたしが教室に帰ったのは放課後だった。
「千夏、まだいたんだ?」
あたしを心配して残ってることぐらいわかった。
でもあたしは何でもないふりしなくちゃいけなくて...
千夏の優しさに気付かないふりをした。
「優衣‼」
「涼、びっくりしたー。どうしたの?」
涼の優しさにも、気付かないふりをした。
「どうしたの?」
涼の右手があたしの左ほほにふれた。
「なんかなってる?」
大丈夫、ちゃんと笑えてる。
「目も赤い」
涼の鋭い指摘に困りしたをむく。
「優衣」
この声は、怒ってる。
「ほんと何にもないよ♪二人とも心配しすぎ」
あたしは軽く笑って教室をでた。
一人で帰るなんてはじめてだった。