幼なじみ
病魔
いったい何時間待ったのだろう?
たった1分にも感じたし、永遠にも感じた。
「涼、一緒に聞いて?」
不安そうな優衣の顔は俺に助けを求めてる。
「わかった」
俺だって死ぬほど不安だよ。
でも大丈夫だよって手を握るしかできないんだ。
もしもっと早く病院に連れて行っていれば。
もしもっと早く優衣の異変に気づいていれば。
こんなことにはならなかったのだろうか。
神様はどこまでも不公平だ。
なんで優衣なんだよ?
俺にしてくれよ...何で...。
「香川さん。お待たせしました」
「あ...はい」
緊張気味の優衣の顔からは不安がにじみ出てて俺もこんな顔をしてるのかな...ってちょっと笑顔を作ってみたりした。
「座ってください」
いかにも医者って感じの表情。
「香川さん...最近体調不良が続いているということでしたね」
「...はぃ」
今にも消え入りそうな優衣の声。
自分の心臓の音がやけに大きく耳に響く。
俺はだまって医者の言葉に耳を傾けた。
「あなたは...白血病に侵されています。」
「「え.....?」」
白血病?誰が?優衣が?
何言ってんだこのおっさん?
ふざけんなよ...俺は冗談を聞きにここに来たんじゃねーよ。
だいたいこんな長い検査いらねーじゃん。
風邪薬もらって早く帰ろうぜ。
心の中ではこんな言葉がいっぱい浮かんでて...
わずかな笑みさえこぼれそうになった。
でも肝心の口は全く動いてくれない。
「先生。それは間違いありませんか?」
「はい。もう少し詳しく検査して進行度などを見る必要がありますが...」
医者はカルテをみながら淡々と話す。