幼なじみ


中学に行っても優衣はあいかわらずだった。
天然で、かわいくて、細くて、頭も運動神経もいい。
パーフェクトってみんな言ってた。





「リオ、おはよー」
中1でも同じクラスだった。
涼くんは隣のクラス。
どんなに親しくなっても、涼くんだけは呼び捨てにできなかった。
女子はみんなそう呼んでるし、呼んじゃいけないオーラがあった。





優衣はいつも千夏と一緒だった。
千夏は元気で明るくて、みんなの人気者。
そんな千夏には、翔というかっこいい彼氏がいた。
もうけっこう長いと噂で聞いた。





優衣と千夏と翔と涼くん。
この4人はセットみたいな存在で、誰からも好かれていた。
文化祭でやった劇。
もちろん白雪姫は優衣で、王子は涼君だった。
劇は大成功で優衣と涼君には、姫と王子というあだ名がついた。





テストでは常に、一位が優衣、
二位が涼だった。
「いつも二位で悔しくないの?」
あたしはまっすぐに疑問をぶつけた。





「まさか。俺が目指すのは一位じゃなくて優衣の隣だから」
笑顔でこたえる涼君にあたしは何も言えなかった。
目指すのは一位じゃなくて優衣の隣...。
二位で悔しくなんかないんだ。
優衣の隣だから、むしろ嬉しいんだ。





涼くんの気持ちの強さをしったあたしはただなくしかできなかった。









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