【完】とわの風、青空の君。
「あ、うん」


私はキュウちゃんの言葉に小さく頷いた。


「何か用事?」


「ううん。そんなんじゃないんだけど・・・なんとなく引き込まれちゃって」


「ふうん?」


キュウちゃんは不思議そうに私を見つめながら、練習着の胸元をバフバフとさせて、練習着の中に風を送り込んだ。


私はそんなキュウちゃんを見て、慌てて鞄の中から下敷きを取りだして、キュウちゃんを仰いだ。


「うお!?何?」


「いや、何って風・・・暑そうだったし・・・涼しいでしょ?」


「っぷ。お前変なやつー。でも嬉しい、ありがとう。癒しの風だあ」


キュウちゃんは私が送る風にアーッと口を開けて、気持ちよさそうに微笑んだ。

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