好きすぎた、たぶん。


「可威がすぐ受けないって俺もわかってたよ。でもじゃあ、何で俺がお前に話を持ってったかわかるか?」


「・・・杉原さんの中では、受けた方がいいと思ってるからじゃないんですか?」


「だな。わかってんじゃねぇか。」


「わかりますよ、そりゃ。だから保留にしたんです。考える時間が欲しかったから。」


「まぁ俺も今すぐ答え出せとは言わない。お前が嫌がる理由もわからなくもないからな。でも、俺は受けて損はねぇと思う。お前が主演を受ける代わりに主題歌はNUTSで決まる。お前の知名度が上がればNUTSの知名度も上がるし、主題歌になれば曲を聴く機会は増える。だろ?」


「・・・はい。」



わかってるよ、それくらい。



受けた方がNUTSにとってプラスになることくらい、わかってる。



わかってるけど・・・



「まぁそんなに返事待たせられねぇけど、極力待ってもらうから。」


「すいません、ありがとうございます。」



社長室を後にして、仕事場に向かった。

< 107 / 880 >

この作品をシェア

pagetop