好きすぎた、たぶん。
だけど、やっぱり俺は芸能人には変わりなくて、自然と一般人だった頃とは生活が違ってくる。
普通に買い物に行くこともハッキリ言って減ったし、人にバレないようにしてるのも確か。
一般の人と線を引きたくないと思っても、引いてしまうものなのかもしれない。
そんな俺が出会った詩織ちゃんは、俺が久しぶりに接した芸能人じゃない人で。
彼女の裏のない言葉や目は、新鮮の様で懐かしくも感じた。
「詩織ちゃん。」
「はい・・・え?」
助手席に座ってる詩織ちゃんの右手を握った。
「俺さ、矢神可威って言うんだ。本名。」
「はい。」
「クレジットはこっちの名前だから知ってると思うけど。」
「はい。」
「可威でいいよ。」
「え?」