好きすぎた、たぶん。
「呼ぶの。まぁ、可威さんでもいいけどさ。」
「え、あ、はい。」
「今もそう呼んでると思うけどさ、NUTSで活動してるKAIじゃなくて、本名の可威で呼んで。」
「は、はい。」
「わけわかんないね、言ってること。」
「いえ、そんな。」
詩織ちゃんにこう言った理由は、やっぱりわからない。
でも、NUTSでいる時の俺じゃない俺のことは、KAIとは呼んでほしくなかった。
別にどっちでもいいんだけどさ、いつもなら。
「そろそろ行こうか。明日、早いでしょ。」
「あ、はい。」
詩織ちゃんの手を離して、詩織ちゃんを家に送った。