好きすぎた、たぶん。
詩織ちゃんからの突然の誘いの電話を切って、また仕事に戻った。
どうしたんだろ。
詩織ちゃんから会いたいなんて。
尋常じゃなく緊張してたけど。
この日は取材デーで雑誌の取材ばっかりだった。
音楽誌じゃなくて。
もう新曲出してちょっと経ったしね。
ファッション誌とかヘアースタイルだけの雑誌とかね。
・・・前は反抗する気が起きたりしたけど、もう今となっちゃそんな気持ちすら起きてこない。
仕方ないよ。
もう、歌だけでやっていきたいなんて思える立場じゃない。
前からそうだったけど、結果も出せない俺がそんなこと思ってちゃいけない。
歌だけでいいわけねぇだろ。
・・・カメラから聞こえる絶え間ないシャッター音にそう言われてる気がした。