好きすぎた、たぶん。
大学には行かない、就職もしない、専門にも行かない、音楽で食っていく。
それを1番最初に話したのは、ちょっとキレてる担任ではなく、潤だった。
「潤さ、進路決めた?」
「あー、大学受けるよ。」
「大学行きたかったん?」
「ううん。別に。他にしたいことねぇし。」
「ふーん。」
「可威は?」
「俺、東京行く。」
「東京?」
「うん。」
「東京行って何すんの?」
「音楽で食ってく。」
「マジで言ってんの?」
「おぉ。いきなり上手くはいかねぇと思うし、もしかしたら全然ダメかもしんねぇ。でも、親父見てて仕事する気になんてならなかった俺が、初めて仕事にしてぇと思ったんだ。俺にはギターしかねぇからさ。」