好きすぎた、たぶん。


この日、潤は俺の決断を聞いて何も言わなかった。



潤は俺の親父がどんな人間か、俺がどうやって今生きてんのか、全部知ってる。



でもこいつは、俺に何も言わなかった。



「“やめなよ”とか“最低”とか思わないの?」って聞いたら、「お前はお前だから」って。



「その家庭それぞれに事情はあるし、人それぞれ生き方があるでしょ。俺がどうこう言う必要ないよ。」って。



俺はその言葉を潤に言われた時、涙が出るほどに嬉しかった。



俺が潤に進路を話した翌日、担任に進路を告げて、予想通り反対されたけど、押し切った。



親父は反対せず、頑張れよと言うだけだった。



まぁ、そりゃそうだろ。



親父は反対できるわけない。



自分が全うに生きてないのに。




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