好きすぎた、たぶん。


俺は世の中にNUTSのKAIとして知れ渡った。



俺がNUTSのKAIと、矢神可威の間に溝があるような気がしたのは、自分の生い立ちのせいだった。



NUTSのKAIがこんな人生を歩んできたことは、世の中の人は誰も知らない。



言えるわけない。



会社も知らない。



夏実も知らない。



メンバーも知らない。



知ってるのは、潤だけ。



世界中で考えれば、潤と親父だけ。



メジャーデビューして1年以上が経って、今はもう、自分で稼いだお金で十分暮らせるようになった。



そこそこ高いマンションに住んで、お金に困ることはまずない。



だけど、7歳から女の金で生きてきた俺自身は、変わることは出来なかった。



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