好きすぎた、たぶん。


「次はもっとデカいとこでやんねぇとな。」



何気なく言われた一言だった。



お世辞かもしれない。



実際はそうならないかもしれない。



でも、何気ない一言が、俺にはすげぇ嬉しかった。



「可威。」



仕事場に向かう前にトイレに行こうと思って出た後、廊下で声をかけられた。



振り返ると、夏実だった。



「もう行くでしょ?仕事。あたしも一緒に行くよ。車出てるし。」


「うん・・・」



移動車の方は潤とかを迎えに行ったらしく、夏実と俺は俺の車で仕事場に向かった。



夏実が運転するっつったんだけど、俺の車だから俺がした。



「よかったって言われたでしょ、ライブ。」


「うん、すげぇ言われたよ。」


「でしょ?あたしまですごい言われたんだから。」


「そっか。」


「それほどよかったってことよ。」


「かもな。」



夏実と仕事の話をしていても、どうしても浮かぶのは昨日の詩織ちゃんだった。



< 617 / 880 >

この作品をシェア

pagetop