好きすぎた、たぶん。
「次はもっとデカいとこでやんねぇとな。」
何気なく言われた一言だった。
お世辞かもしれない。
実際はそうならないかもしれない。
でも、何気ない一言が、俺にはすげぇ嬉しかった。
「可威。」
仕事場に向かう前にトイレに行こうと思って出た後、廊下で声をかけられた。
振り返ると、夏実だった。
「もう行くでしょ?仕事。あたしも一緒に行くよ。車出てるし。」
「うん・・・」
移動車の方は潤とかを迎えに行ったらしく、夏実と俺は俺の車で仕事場に向かった。
夏実が運転するっつったんだけど、俺の車だから俺がした。
「よかったって言われたでしょ、ライブ。」
「うん、すげぇ言われたよ。」
「でしょ?あたしまですごい言われたんだから。」
「そっか。」
「それほどよかったってことよ。」
「かもな。」
夏実と仕事の話をしていても、どうしても浮かぶのは昨日の詩織ちゃんだった。