好きすぎた、たぶん。


でも、やっぱり寸前でためらいが出た。



すげぇ長くもしないけど、触れるだけのキスではない。



いつもは。



でも、今日は触れるだけだった。



触れるだけしか、する気になれなかった。



「・・・え?」


「ごめん、あんま時間ないからさ。」


「そっか・・・」


「じゃあね。」


「うん。」



京子さんのマンションを後にして、タクシーで仕事場に向かった。



なんだったんだろ・・・



ま、いっか。



疲れてたんだろ。



京子さんと一緒にいて、こんな風になることはなかった。



強いて言えば、俺がこんな生活を始めたばかりの頃くらいで。



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