好きすぎた、たぶん。


励まそうと思って呼んだわけじゃない。



ただ、こいつと話そうと思った。



これを聞いてこいつがどう思うかわかんないけど、もう1回咲の歌が聴きたいと思った。



人気がまた出るってそんなことは俺にはわからないけど、だけど、本当にこいつの歌はすごいと思うから。



「可威・・・」



目に涙を浮かべてる咲は、俺に抱きついてきた。



「じゃあ、可威が一緒にいてよ。」


「・・・・・・」


「あたしの歌が好きなら、一緒にいて支えてくれないの?」


「・・・どうしてほしい?俺に。」


「・・・え?」


「お前は俺にどうしてほしい?付き合ってほしい?キスしてほしい?セックスしてほしい?結婚してほしい?」


「・・・・・・」


「・・・これ以上、幻滅させんなよ。」



咲の目に溜まっていた涙が、一気に溢れ出した。



「お前さ、そんな奴じゃなかったろ。」


「・・・・・・」


「俺と付き合ってる時、お前、俺より音楽だったじゃん。」


「・・・・・・」


「こんなに男に依存するような奴じゃなかったろ?」


「・・・・・・」



そう言うと咲は泣きながら、俺を掴んでいた手を離した。



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