好きすぎた、たぶん。


そして咲の家に着いて、あいつが車を降りる時、さっきと同じ様にチュッってキスをされた。



「私と矢神くんの、最初の思い出。」



そう言って笑ったのを、今でも覚えてる。



咲との思い出は、っていうか正直俺は思い出とかあんまないけど、でもたぶん、キスで始まってキスで終わったんだろうな。



・・・・・・。



そんなことを考えてると、さっき咲に言われたことを思い出した。



“あたしとキスもセックスもしないって言ったの、その理由だけ?”


“その人の為じゃない?”



・・・詩織ちゃんの為?



詩織ちゃんが悲しむからって思ったってこと・・・?



・・・いや・・・ないだろ・・・



違う違う。



マジで咲のこと考えて・・・



でも、あいつにもう1度告られた日、咲にイラついてもうセックスすりゃいいんだろって思い始めた時、頭に詩織ちゃんが浮かんだのは、確かだった。



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