好きすぎた、たぶん。
さっきまでよくもってたなって本気で思うくらい、このくらいの言葉で詩織ちゃんはまた照れていた。
なんかもう、照れないことはないんだな、きっと。
詩織ちゃんが車から降りて、そのまま仕事場に向かった。
今日は雑誌取材。
まぁ、またもや音楽誌ではないけど、仕方ない。
シングル出してないしね。
ライブも終わったし。
まぁこういう時もある。
当たり前だけど。
でも、こう思えるようになっただけでも、俺は自分自身にビックリだった。
「見たよー、可威さぁん。」
仕事場に着いて楽屋に入ると、真っ先に健吾が絡んできた。
「何を。」
「週刊誌だよ、お前載った。」
・・・そうだった。
何かわかんねぇけど、すっかり忘れてたよ。
昨日詩織ちゃんに会った時にはすげぇ覚えてたっていうか、それしか考えてなかったのに。