好きすぎた、たぶん。
「ねぇ、可威。」
「・・・我儘言ってガキみてぇとは自分でも思う。でも、何回言われても変わんないから。」
「・・・・・・・・・」
特に行きたいとこがあったわけでもねぇけど、楽屋を出た。
もうこれ以上何か言われたくなかった。
本当、ガキだな、これじゃ。
ちゃんと話せばいいのにね。
でも、話したところで、わかってはもらえない。
自分でわかってないんだから。
もし夏実に「何でそんなにあの子にこだわるの?」とか聞かれちゃったとする。
思いつく答えはあっても、それが本当の答えかまだわからない。
その答えを答える自信がない。
ガキみたいに、その場から逃げることしか出来なかった。
ブーブーブー。
さっき楽屋に行った時に見てポケットにしまった携帯が震えた。
“着信 森野詩織”
あれ。
詩織ちゃん?
どうしたんだろ、また忘れもん?