好きすぎた、たぶん。
♪~
なかなか思いつかずに、しかも集中も出来ないながらもスタジオで曲を作り続けてると、携帯が鳴った。
いつもは音聞こえないし、バイブになってるはずなんだけど、忘れてた。
ちょうど俺も潤も音出してなかったから、運よく気付いた。
ポケットから取り出すと、考えてる真っ最中の人からの電話だった。
「悪い、電話。」
「おぉ。」
防音の分厚いドアを開けて、スタジオの外に出た。
携帯を開いても、変に指が重い。
通話ボタンを押すことを、どこかためらっていた。
・・・でも、かかってきてるし・・・
「はい。」
「あ、詩織です。」
・・・詩織ちゃんか。
詩織ちゃんからの電話だとはわかってるけど、こないだみたいなことがあったから、どこか安心したような気がした。
お兄さんからの電話が嫌だとかそういうことじゃないけど。
でもそんな風に思いながらも、詩織ちゃんからの電話に心が締め付けられた。